我々日本人は、幸せなことに「山紫水明」の地に生まれ育ちました。美しい「山水草木」に囲まれた豊かな大地で生きることの喜びと感動を享受してきました。自然の摂理や叡智に知らぬ間に触れ、万物に対する優しさや愛情、心くばり、いつくしむ心が育まれ、何世代にもわたって受け継がれてきました。やがて、私たちのDNAには人間だけが持つ独自の感受性や感性が取り込まれ組み込まれています。時代が変わり、江戸時代になると、町中で草花や植木が売られるようになりました。こうした流れを受けて、日本独自の盆栽や山野草、水石の愛好趣味が成立し、広く普及するようになりました。このような変遷が、まさにDNAの影響なのかもしれません。背景には盆栽や山野草の培養技術が大幅に進歩したことと、愛好者の美意識や審美眼の向上が大きな要因として挙げられます。ただし、盆栽や山野草、水石は長い間、屋外の盆栽棚に置かれて培養や鑑賞がされてきました。